ご紹介する本について
出版元:筑摩書房
著者:大原扁理
太田出版より「年収90万円で東京ハッピーライフ」を改題し、一部ページ数を増補。
ちくま文庫より出版されています。
著者は年間100万円以下で週休5日制のほぼ隠居生活を実践しています。
その他に、ブログや本の執筆等もされているようですが、それも趣味の一環と言った感じみたいです。
本のあとがきによると、台湾、韓国、香港、中国の東アジア圏の反響が大きく、海外でも活躍されているようです。
また、2016年に太田出版から 「年収90万円で東京ハッピーライフ」 を発売されたすぐ後に、台湾へ移住したことも書かれていました。
現在は年収60万で生活していらっしゃるようです。
めちゃめちゃ気になる人なので大原さんのブログもチェックしてます。
私の感想
読む前は、超ミニマリスト入門書みたいなイメージを持っていました。
全然違いました。
毎回の事ですが、良い意味でまた裏切られました。
投資の配当金で質素に暮らしているわけでもなく、在宅ワークでIT系のめちゃめちゃ頭脳派の高給取りってわけでもないんです。
本当に自然にただ生きてる人って感じがしました。
野草の知識とそれを使った健康法等、ちょっと引くくらい詳しい・・・。
でもそういうどうでもいい知識って私は大好きです。
私にも大原さんの野草に対する愛情が手に取るように分かります。
私にも秘密の場所があるのです。
そこは「私の森」と勝手に言っている、近所の戦没者記念碑のある荒地です。
まず早春にはフキノトウ、端午の節句辺りになるとワラビ、梅雨明けにはドクダミ、準じてフキノトウが大人になったフキを取りに行きます。
また、ヨモギは一年中道端に生えていますが、一番柔らかい時期の春に新芽だけを採っています。
いわゆる贅沢採りです。
湯がいて包丁で細かくみじん切りにしてから、すり鉢でペースト状にしておいて冷凍庫で保存。
お餅の中に入れてよもぎ餅を作るのが楽しみ。
人からは理解されにくいですが、野草(私の場合は特に山菜)はその生え方が萌えポイントですね。
大原さんも本の中にそのような事を書かれていました。
ワラビの立ち姿なんかは、それはもう萌え~~~です。
崖っぷちにうつむき加減に大人しく、生まれてきてすみませんと言っているようなワラビちゃんを見つけてしまったら、危険だろうが、何だろうが採ってやりたくなるのです。
近くで見ると意外に産毛が濃いのがまたギャップがあっていい感じです。
話を本に戻します・・・。
大原さんは野草研究家ではもちろんありません。
野草のくだりの他に印象に残ったのは、著者の学生時代の事です。
さらっと書いてるけどかなり壮絶だったろうと思われるイジメ体験や、家族の事。
今でもその体験を思い出す場面があると、体が反射的に反応するそうです。
その時にどうすればよいかの対処法もご本人なりに編み出されいるようで安心しました。
また、文庫版では増補部分に家族に対する思いが書かれています。
その中で、家族だからって愛さなければいけないってわけではないと、言われていました。
家族は他人だと思うようにすれば、イラつく事も減るかもしれませんネ。
私も母と二人暮らしで、一人になりたいと何度も思う事があるのですが、現実的にそれは無理なのです。
母親の様な人間になりたくないと思ってしまう自分がいます。
母親が無言で与えるプレッシャーから逃れたいのに、その型枠の中にいる方が楽な自分も存在しています。
著者の家族関係と私のそれとは全く違うものですが、一番近い存在を他人だと認識する事を課題として習慣付けてみようと思います。
もしかしたら、心が解放されるかもしれませんからネ。
本屋で何気なく手にした、前知識がない作者の本にこれだけの重要な事が書かれているとは思いませんでした。
本当に本との出会いって、毎回運命を感じます。
著者のその他の本も是非読んでみようと思っています。
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