読んだ本
タイトル:人は話し方が9割
出版元:すばる舎
著者:永松茂久
私の感想
この年になると話し方にもコツがある事は何となく気づいてはいた。
この人感じが良いな~と言う人は大抵話が上手だ。
よくよく観察してみると、その人自身はあんまり話してはいない事に気づく。
話を上手に振って、相手に喋らせている。
私には意味不明の事や、知らない第三者が出てくる会話を聞きながら、想像の世界に浸る。
これはお茶の教室での出来事だ。
新人は初めて聞く道具の名前や、宗匠の名前、数々のお茶の会名を聞くことになる。
そして段々、どえらい所に来てしもうたとビビる。
大抵はこの辺で静かに身を引くことになる。
今思えば、こういう会話も稽古のうちなのかもしれない。
お茶の人は、人の悪口もうわさ話も、耳障りでない言い方をされる。
へー、そうなんだ~と軽い気持ちで聞いていられる程度の軽口をさらりとされるのだ。
あれは会話の上級者にしかできないし、生まれや育ち、親の影響が大きいと思う。
ハウツー本で学べるレベルのモノではない。
今回この本の中で一貫して感じたことは、話したり、人の話を聞いたり、人に話を振ったりする機会がない人には非常に無意味な内容だと言う事。
無意味とまではいかなくても、読んでいて苦痛を感じた。
自分の生活の中で実践の場がほぼ皆無であるという事実を知る事は、自己肯定感を下げる要因になる。
この本を読み終わって、晴れ晴れする人とそうでない人と自分はどちら側か試しに読んで見てほしい。
そもそもこの本を手に取る人のほとんどがビジネスパーソンなのだろう。
もしくは何らかのコミュニティーに属している人たち。
人との繋がりが多い人たちには役立つのだろう。
私は万年平の事務職で同僚はいても、後輩や部下を持つ立場には今後もならないであろう。
なのでこの本に書いてある事を実践する場がないのだ。
例えば、第4章-30「人を叱る時は、相手への敬意を忘れずに」等。
ただ、人に嫌われない話し方なら実践しやすいかなと思った。
が、そうでもない事に気づく。
これは、好かれはしなくても嫌われない様に心掛けて話すと言う事だ。
それだけでも私には充分すぎるほど難易度が高い。
なぜなら嫌われているかどうか、本人自身は分からないから。
それに少々繊細さん気質がある為、相手を気にしすぎると疲れ果ててしまう。
もっとハードルを下げて、二人きりにならないように最低3人くらいになったところで、繰り広げられる会話に上手に相槌を打ち、空気のような存在に徹する事から始めたいと思う。
(それでもそんな状況になる事もほとんどないのだが)
これは、まさしく自分の立ち位置を理解した究極の人付き合いだろう。
こういう人を何人か見たことがある。
何も喋らないし、人に話を振る事もない。
プライベートな質問もしないし、ただただそこに座っているだけ。
ただ、マスクの下は終始笑顔だった気がする。
そして気が利く。
このように言葉ではなく態度で好感が得られるタイプもいるのだ。
印象に残らないが決して嫌われる人ではなかった。
私の中での彼女の印象に残るものは、なんかいいな~この子だから。
この本を読んでそんな事を思い出した。
彼女は今どうしているんだろう?
コロナの影響で疎遠になって、もう会う事は無いかもしれないが、年下のその子にもっと教わる事があっただろうに。
人は話し方が9割なら、残り1割は何なのか?
その1割の方に何か人間としての核心があるように思えるのだ。
以上、ひねくれ者の読者が読んだ感想である。
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